日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2024年4月6日話す順番を考えよう


★話を勘違いされそうになる


先日、ある会社で話し方研修を開催しました。

「より良いコミュニケーションスキルを身につける」というご要望にお応えして、良い人間関係をつくる話し方を中心に研修を進めました。

社員の皆さんはとても熱心に講義を聞き、グループワークに取り組んでくださいました。

最後に、今回の研修の感想や学んだことをグループで話し合ってもらい、その後、グループでの話し合いの内容を代表者に発表してもらいました。

その際、ある社員の方がこんな話をされました。

「今日教えてもらった内容は、本で読んだりテレビで聞いたりしたことがあって、どれも目新しいものはありませんでした」

と、ここまで話した後、

「あっ!すみません!!!違うんです!
この研修がつまらなかったとか役に立たなかったとかではなくて、知っていたことでも自分でやってみるとできていなかった、そのことに気付いたことが大きな学びだったということが言いたかったんです! すみません!!!」

発言した参加者は、かなり慌てて付け加えられました。


★話す順番を考える


あなたは、自分の話が勘違いされるそうになってあわてた、という経験はありませんか?

誰でも一度や二度は、上のように自分の気持ちや考えていることを勘違いされそうになった、ということがあると思います。

このようなことが起こらないように、話す前に『話す順番』を考えましょう。

例えば、上の例の参加者も、話す前に順番を考えて、まず

「今日の研修では大きな気付きがありました」

と話せば、きちんと伝わる話になったはずです。

聞き手は「ああ、この人はポジティブな話をするんだな」と思い、その後に「目新しい話はなかった」と続けても、発言の趣旨を誤解することはないでしょう。

話す人も誤解されるという恐れを感じることなく、自分のペースで話ができたと思います。

この「今日の研修では大きな気付きがありました」のように、話の方向性を示すものを日本話し方センターでは『主題』と呼んでいます。

そして、この主題を話の冒頭に言うことを、繰り返しのトレーニングで身につけていただいています。

 

主題とは、自分が言いたい主旨をまとめた短い文章です。


主題を始めに言うことで、聞く人はどういう話をするのかがわかり、話を聞く準備ができます。


言わば、聞き手の頭の中に話を受け入れる箱を作ることができるのです。


そして、その箱を作ってから具体的な話をすることで、聞き手は安心してその箱に話の内容を入れることができるのです。




★主題は様々な場面でとても有効


ところで、ここまで読まれた方の中には、「なるほど、要は結論から先に言うということだな」と思われた方がいるかも知れません。

主題と結論はよく似たものですが、主題は結論よりも幅広い概念です。

 

例えば、上司に相談をする場合でも主題は大切です。

「ちょっと宜しいでしょうか。会社の決済ルールが変わるので、この事務手続きも変えないといけないと思って担当部署に確認したんです。そしたら、その回答がよくわからないので別の人に聞いたところ、そのルール変更の担当部署はそこではなくて、~~」

このように、多くの場合、相談する人は上司に、状況の説明から話し始めます。

しかし、この話し方では、相談をされている上司はずっと「だから何が聞きたいの?」と少しストレスを感じながら聞くことになります。

また、何を相談されているのかを懸命に推測しながら聞いているので話に集中できません。

話の最初に「この件を誰に相談したらいいか教えて欲しいんです」というように『主題』を言えば、上司はどういうことを答えればいいのかがわかり、心の準備ができるので、安心して話を聞くことができます。

 

また、朝礼のスピーチでも、いきなり

「この間、山陰地方に旅行に行きました。泊まった旅館は夕食はおいしかったのですが、部屋が今一つきれいではありませんでした。~」

と延々と事実を話す人がいます。

こうした場合も聞き手は「で、何が言いたいんだろう? 話のオチは何だろう?」とずっと考えながら聞くので、少なからずストレスを感じてしまいます。

話の冒頭に「よく調べてから行動しよう、という話をします」と、話の方向性(=主題)を示してから具体的な事実を話せば、分かり易い話になるでしょう。

 

話は「相手ありき」です。

相手が話を聞く準備ができるように心を配ることは、聞き手に分かり易い話をするためにとても重要です。

その一つの手段として最初に『主題』を言うことはとても有効です。

ぜひ実行してみてください。

 

★より良いコミュニケーションの取り方を学びませんか?


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